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ベリーナ中目黒ストーリー

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ベリーナ中目黒ストーリー

物件が紡ぐ物語




大学を卒業して、渋谷にあるITベンチャー企業で働き始めてからもう5年。チームマネージャーとして後輩たちを育てながら、日々激務をこなしている。


仕事は楽しいけれど忙しくて、朝は早く、夜は遅い。そんな日々には少し前から体力の限界を感じていた。実家から会社に通う時間を短縮したい。できるだけ長く睡眠時間を取りたい。


そんな切実な想いで、実家を出ることを決めたのが半年前。とはいえ、ひとり暮らしなんてしたことがなく、忙しい日々の中で家事ができる自信はなかったから、「清掃スタッフがいる」というところに惹かれてこのシェアハウスを選んだ。


「いつか住んでみたい」と思っていた、お洒落な中目黒に自分が住んでいる。そのことが嬉しくて、毎日町を歩いているだけでスキップしそうになる。




今日は、久しぶりに予定が入っていない休日。いつものようにお昼前にゆっくり起きて、リビングで陽の光を浴びる。ああ、よく寝た……!


リビングにはもう何人か同居人がいて、朝ごはんを食べている人、テレビを見ている人、思い思いに過ごす同居人たちに挨拶をする。



このシェアハウスは定員が多いけど、それぞれが自分のペースで過ごしているからそこまで人数が多いことも気にならない。交流を強制されるような雰囲気も全くないから、私も気楽に過ごせている。


一週間分の洗濯を済ませて、身支度をする。ここでの暮らしも半年経ってだいぶ慣れてきたけど、家中の掃除をする必要がないのは本当に助かるなあ。リビングや廊下をいつも綺麗にしてくれる、スタッフさんに感謝。


今日は特に誰かと会う予定はないけど、せっかくの外出だから、お洒落はしたい。玄関の大きな姿見で全身をチェックしてから、この前のボーナスで買った、新しい靴を手に取る。大きな靴箱があることも、ここに住むことを決めた理由の一つだった。




扉を開けて外に出ると、賑やかな町が広がっている。洗練された服を着た男性や、お洒落な若いカップル。町を歩く人たちはみんな背筋が伸びていて、私もこの町に似合うような女性になりたいなあ、と思う。


まだこの町に馴染めているか分からないけど、そんな私にも、肩肘張らずに過ごせる場所がある。少し落ち着いた通りの、一本小道に入ったところにあるカフェ。何も予定がない日はここへ来て、ブランチをするのが私のお気に入りの過ごし方。


平日は会社の同僚や先輩と飲みにいくことが増えてきたし、休日は友達と出かけることが多いから、久しぶりのひとり時間。たまにはこういうのも、いいなあ。





ゆっくり過ごした後は、ぶらぶらお散歩。目に留まった雑貨屋さんに立ち寄りながら、目黒川へ向かう。


目黒川には、大好きなチーズケーキ屋さんやイタリアの輸入食材を扱っているお店があって、お散歩の時は必ず覗く。好みの内装のカフェや、もう少し大人になったら入ってみたい洋服のお店もあって、本当に飽きない。


そうやって気ままに散歩をしていたら、もう夕方になっていた。休日の時間の流れは早いなあ。駅前のスーパーで、サラダをつくるための野菜と、おつまみを買って帰ろう。相変わらず料理は苦手だけど、野菜だけは毎日ちゃんと食べるようにしている。


家に帰って、リビングの定位置でワインを開ける。こうやってひとりでお酒を飲んでゆっくり過ごすのも、久しぶりだなあ。


実家にいた時は、いつも家族で食卓を囲んでいた。だけどここへ来て、ひとりの夜も案外気楽で楽しいかもしれない、と思えるようになってきたのは、私が大人になったからなのかな。


日曜日の夕方は、キッチンで料理をしている人や食事をしている人が多い。たまに同居人から余ったご飯をもらうこともあるけど、大体みんなひとりでマイペースに過ごしている。そんな彼女たちを最初に見た時、「なんだか大人だなあ」と感じたけど、今は私もすっかりその一員。





早めに食事を切り上げて、空いていたお風呂に入る。大きなバスタブにゆっくり浸かれるのも、私が妥協したくないポイントだった。


お風呂を出て、一週間のご褒美にと買っておいたアイスを食べながら部屋でまったり過ごす。日曜日のこの時間は、明日からの自分にエネルギーを蓄えるための大事な時間。


今まで、平日は仕事でほとんど自分の時間がなかった。ここに来てからは会社への行き帰りがだいぶ楽になって、そのぶんゆとりを持って過ごせるようになった気がする。


実家にいると、つい両親や妹と話し込んで時間が経ってしまうことも多かったから、自分ひとりの時間がこんなにあるのは、人生で初めてかもしれない。せっかく手に入れたこの時間を、もっと有効活用していきたいな。


給料はまだまだ多くないけど、出費が多い私。20代のうちに、憧れの街でひとり暮らしができる日がくるなんて、想像もしていなかった。両親に贅沢だと言われても、諦めずに探し続けたから、ここに出会えた。




憧れに、思い切って手を伸ばしてみてよかった。自分にはまだ足りない部分も多いけど、少しずつ、近づいていきたい。


いつか、この町に似合う自分になれるように。

理想の自分になれるように。





※この記事は、架空の入居者の暮らしを描いたフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。物件設備や近隣店舗などは、2022年4月18日時点の情報に基づいて記載しています。


ライター:岡崎 菜波


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