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ステラ武蔵小山ストーリー

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ステラ武蔵小山ストーリー

物件が紡ぐ物語




私は、目黒にある物流企業で働く会社員。30歳になり、マネージャーとして大好きな部下たちと一緒にチームで働く日々は、充実していて穏やかな幸せを感じる。


新卒で大手企業に入社して、隣の部署の先輩と付き合うことになり、7年間同棲をした。そんな「理想のOL生活」を送っていた私の人生にはじめて訪れた転機は、結婚を目前に、彼に別れを告げられたことだった。


全部一旦リセットして、ゼロから人生をはじめよう。7年ぶりのひとり暮らしを決意したところで偶然知ったのが、このシェアハウスだった。


会社に通いやすいのはもちろんだけど、純粋にこの町が好きだな、と思ったのが最初のきっかけ。内見でこの町を訪れた時、商店街の賑わいや、道を歩いていると目に入る、どこか懐かしい感じがする風景に「ここなら、自分も馴染めるかもしれない」と感じたのを今でも覚えている。


その感覚は当たっていて、家族連れや学生が多くいつも賑わう商店街を歩いていると、自分もこの町の一部になっているような気がして安心したし、背伸びしないで気楽に外を歩けるゆるやかな空気も、とても居心地がよかった。


とはいえ、知り合いのいない町でのひとり暮らしは、少しの心細さもあった。だから「プライベートの空間が守られつつも、同居人がいる」というこのシェアハウスは、今の自分にはちょうどいいかもしれない、と思った。




ここに引っ越してきてから、今日でちょうど1ヶ月。彼との思い出が全くない場所で「はじめて」づくしの生活を送っているうちに、少しずつ悲しみは薄れて、新しい日常への前向きな気持ちが日に日に膨らんできている。



ブラインドを開け、日差しがたっぷり入るリビングで朝ごはんを食べる。ダイニングテーブルにも、自分の定位置ができてきた。


アンティーク雑貨のようなユニークなデザインの掛け時計は、内見の時から気に入っている。私はもともと雑貨屋さん巡りが好きだったんだけど、同棲していた彼の趣味にアンティーク系は合わなくて、買うのを我慢していた。やっと自分の趣味に正直になれる嬉しさを噛み締めながら、この席から時計を眺めるのが、最近のお気に入り。




洗濯と、来週の夕飯のための食材リストづくりを終えて、出かける準備をする。最近、開発が進んでいる駅前には、タワーマンションが建ったおかげでスーパーも増えてとっても便利。


だけど今日はせっかく時間もあるし、「日本一長い」といわれている商店街を、最後まで歩いてみようかな。まずはどんなお店があるかチェックしてから、買い物に行こう。


遠くのほうまで続いている商店街をゆっくり歩いていると、パン屋さんやお茶屋さん、お花屋さんといろんなお店が目に飛び込んでくる。


小さい頃、家族で住んでいた吉祥寺の商店街と少し似ていて、なんだか懐かしくなる。家族ができたら、こんなあたたかい町に住みたいなあ……なんて、ちょっと想像してみる。


散歩しながら美味しそうなお店を眺めていると、ついついお腹が空いてくる。お昼ご飯は、シェアハウスでもらった周辺MAPに書いてあった、パスタのお店に行ってみよう。





お腹を満たした後は、カフェで少し休憩。ブラック珈琲を飲みながら、これからのことについて考えてみる。彼との別れを迎えて以来、焦る必要はない、と自分に言い聞かせてきた。


だけど最近ようやく、せっかく7年ぶりに手にしたひとりの時間なんだから、どうせならもっと楽しんでもいいかもしれない、と前向きに思いはじめている。


「いつか、自分の家族が欲しい」という気持ちは変わらないけど、私のことだから、きっと家族ができたら自分のことよりも優先してしまって、なかなか今のようには自分の時間が取れないだろうし……。


また一緒にいたいと思える人と出会うまでは、しばらくここで、自分の人生をゆっくり考えようかな。懐かしさを感じるこの町では、子どもの頃のように、まっさらな自分に戻れるような気もする。


前向きな気持ちになったところで、時計を見ると1時間が経とうとしていた。慌てて珈琲を飲み干して、立ち上がる。よし、行きの道で目星をつけていたお店で食材を調達して、そろそろ家に帰ろう。




商店街で人だかりができていたお店の唐揚げと、豆腐を使った食品を扱っているお店でお惣菜を購入する。最近は健康に気を遣っていることもあって、こういうお店が近くにあるのは嬉しいなあ。


最後は、いつものスーパーで残りの食材を買う。顔馴染みになったレジのおばさんと軽く世間話をしてから、荷物を詰めて外に出る。


30歳を過ぎても、こうしてゼロからのスタートを前向きに楽しめることがなんだか少し嬉しくて、軽い足取りで帰り道を歩いた。





帰宅すると、誰かがキッチンで料理をしている音が聞こえた。


「おかえりなさい」にっこり笑って声をかけてくれた歳下の彼女は、日曜日のこの時間になると、大抵キッチンに立っている。どうやら料理が趣味のようで、いつも手の込んだものをつくっているみたい。若いのに、すごいなあ……と、感心してしまう。


「ただいま」私も挨拶を返して、空いているほうのキッチンで料理をはじめる。今日はお惣菜があるから、簡単に。




食事をしている間に、お風呂が沸いたみたいだ。私は毎日欠かさず湯船にゆっくり浸かりたい派で、「大きなバスタブがある」というのも、このシェアハウスに住むことを決めた理由の1つだった。


そしてもう1つ、このシェアハウスの好きなところがある。それは、お風呂の後のリラックスタイム。実はリビングの横にはマッサージチェアがあって、自由に使っていいことになっている。


日曜日の夜だけど、今日は運よく誰も使っていないみたいだし、ありがたく使わせてもらおう。





身体の疲れがすっかり取れて、軽やかに階段を上がる。今朝よりも綺麗に清掃されている床を見て、今日もスタッフさんが掃除をしてくれたんだ、ありがたいなあと思う。


私は不器用で、家事がそんなに得意じゃないから、こういうのも本当に助かっている。だけど、私もお母さんになったら、ちゃんとしなきゃなあ……。


今は物がほとんどない、余白の多い部屋の扉を開ける。だいぶ持ち物を減らして引っ越してきた、この家。ここには本当に大事にしている物しか持ってこなかったから、かなりシンプルだけど、洗練された感じがして結構気に入っている。


守ってきたものを手放して、まっさらになった今。人生に余白が生まれたからこそ、こうして新しい自分を楽しむことができている。それに、何かを失っても、本当に大事なものは私の中にちゃんと残っているんだ。




ぬくもり溢れる下町が、私をそっと見守ってくれている。

だから、ここから踏み出そう。


私にとっての「はじめの一歩」を。




※この記事は、架空の入居者の暮らしを描いたフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。物件設備や近隣店舗などは、2022年4月18日時点の情報に基づいて記載しています。


ライター:岡崎 菜波


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